新刊.jpを聞いて、一度読んで見たかった一冊。個人的にはなかなか面白く読めたかなという感想。訳者の勝間女史は言うほど悪くなかった・・・というか、むしろ下手な翻訳本より読みやすかったぐらい。
成功を何でもかんでも努力と才能で片付けてしまう現代の天才論/成功哲学とはまた違ったアプローチが面白い。生まれた月から始まり、コミュニティや時代背景、文化など様々な要因から成功について分析を行っており、その豊富な実例をケーススタディとして学ぶだけでも非常にタメになる。
●要するに、僕はアウトライアーになれるのか?
多分、この本を読む人の中には「どうすれば自分は成功できるか」を知りたがっている人が多少なりともいるのではと思う。(むしろ、ほとんどの人がそうなのではないかと思う)確かに本の中に答えらしきモノは書かれている・・・が、残念ながらこの本は
アウトライアーを分析している本
であり
アウトライアーになるための方法が書かれている本
ではない。ただし、僕がアウトライアーになれないとは書いておらず、(好機に恵まれさえすれば)アウトライアーになる可能性は依然としてあることを証明してくれている。結局のところ、成功するためには
好機を掴むにふさわしい能力を身につける為に努力を惜しむな
・・・ということが書かれているんだけど、結局セレンディピティかい!!ってなことを思ったアナタ、そうやって決めつけるのはちと早計かもしれない。この本に書かれている法則は
果報は寝て待て
とか
努力はいつか報われる
といった類のお話ではないのだ。成功は空から降ってくることもあるかもしれないが、降ってきそうな場所にも行かずに、いつまでも降ってくるのを待つ事ほど愚かなことはない。この本に書かれている内容は即自分達の成功に結びつかない。でも、自分の成功を阻害する要因について考えるヒントになるかもしれないし、自分が成功するためにどこに行けばいいかを考えるヒントになるかも知れない。
●1万時間の法則
その道のプロになるまでは最低でも3年掛かると良く言われるが、この本では1万時間をその基準値においている感じ。1日8時間だとして、年間200日で1600時間、1日10時間でも2000時間なのだから、毎日10時間集中して働いている人でも5年間は掛かるってことらしい。
但し、1万時間訓練しなきゃ成功できないってわけでもないし、1万時間訓練したからって成功できるわけではない。もの凄い成功を収めたり、もの凄いスキルを持ってるって人は、遍くそのジャンルのことを1万時間以上訓練していたっていう分析結果について書かれているだけなのだ。
自分はなかなか成功できない・・・なんて思っている人は、まずその分野で自分が1万時間訓練したかを考えてみるといいと思う。もしかするとまだまだ頑張れる余地があるのかも知れない。
●富める者は益々富み・・・
マタイの法則ってのが書かれているんだけど、要するに「成功している人にはドンドンチャンスが巡ってくるから、もっと成功する可能性が高くなる」って法則。金持ちの子供は質の高い教育を受けられる可能性が高いし、そういう親は多くの場合教育熱心だったり、子供に成功の秘訣みたいなものを仕込んだりするから、その子供はまた成功する可能性が高くなるってこと。
んじゃ、何も持たない自分は諦めるしかないのか・・・ってことだけど、そうとも限らない。ある時には不利に働いていたことが、時代と共に重要なことに変わるかも知れない。(本書に出てくるジョー・フロムの様に)また、自分の成功を阻害する要因は、自分の今いる環境にあるかもしれない。
要は、成功するためには機会を多く持つことが大事だったり、環境要因というのは存外にでかいということも認め、努めて成功するために良いと思われる環境に身を置くようにすることが大事なのだ。ラッキーな人はそれが人や社会から与えられるし、そうじゃない人は自分で得るしかない。とても単純な話なのだ。
成功するためには・・・
と書けば凄くアタリマエのことだろう。でも、そのチャンスを如何に見つけ出すかってところを、この本の豊富な実例から学ぶことが出来るのではと思う。