前のエントリーでも紹介した「はてな」という会社。インターネット業界ではかなり存在感ある存在になっているんだけど、それを支えるのがプロダクトアウトとマーケットインを巧みに組み合わせた「ものづくり」の体制なんじゃないかと思っている。
この会社のマーケットインは、ほぼ直接的にユーザの声をすくい上げ、サービスの改善を図ったり、新規サービスの開発を行っている希有な事例であり、圧倒的な強みとなっている。
また、プロダクトアウトはどことなくシリコンバレー的なところがあり、例を求めるなら・・・大げさかも知れないが、Googleに近い。共にインターネット(WEB)の可能性を最大限活かし、新しいサービスを創り出そうという、技術志向というか、創造指向が強い。そのサービスが儲かるかどうかというより、そのサービスのおもしろさや技術的卓越性の方を優先しているように感じられる。
インターネット企業には「技術を創り出す会社」と「技術を利用してビジネスをする会社」の2つに分かれ、前者より後者の方が圧倒的に多いと思う。(日本のブログサービスの多くはWordpressだし、無料SNSは例外なくOpenPNE。)個人的な捉え方ではあるが、「はてな」は前者だと思っている。
別段後者が良いとか悪いとかいうわけではないんだけど、自分が起業するとすると、やっぱり前者の会社でありたい。そりゃフレームワークやオープンソース、ライブラリの活用は行うだろうし、必要とあれば他のWebサービスのAPIを活用すると思う。とはいえ、どんな形であれ、僕の価値観は創り出すことに何よりも喜びを感じるし、自分が心底やりたいことでないなら起業しようとは思わない。
思うに、へんな会社「はてな」は、もっとよくしたいとか、こうすれば面白いんじゃないかなとか、そういう試行錯誤の上に出来上がったんだと思うし、今後も実験は繰り返されて、より変さには磨きが掛かるんだろうと期待している。そうやって、自分たちが作りたいモノと、人々が求めているモノを摺り合わせる方法すらも創り出している「はてな」はとてもCreativeでカッコイイと思う。
仕事や事業には一定のルールがあるんだけど、どういう風に伸ばしていくかという方法論自体は、本来自由なものだと思う。コンサバな企業なら残念な感じかも知れないけど、ベストプラクティスには敬意を払いつつも、自由に仕事を創り上げるほうが、もっと仕事が面白くなるし、成果も出る。
なんだか、「へんな会社」のつくり方 を読んでいくうちに、戦後勃興し、行動経済成長期を駆け抜けてきた「ものづくり」企業のエピソードと同じにおいを感じた。自分たちがやりたい仕事をやり、作りたいモノを作り、ユーザの声に耳を傾けより良いモノを作る・・・やり方こそユニークだけど、実はすごく常套なやり方の会社なんだろうなとふと思った。むしろ、そのユニークなやり方を創り出すことだって本来はアタリマエな事なんだと思う(けど、どきていないところがほとんど。。)
それを「へんな会社」だと言うのなら、僕は「へんな会社」を作りたいと思う。