Long Term Evolution(LTE、ロング・ターム・エボリューション)という、次世代携帯電話通信技術だ。位置づけ的には現在のFOMAなどの3G(第三世代)規格の発展系であり、3.9Gと表現されることもある。
NTTドコモでは2010年秋頃のサービスインを目標に現在開発が進められている。一番の特徴は通信速度であり下り100Mbps、上り50Mbpsという、将に無線ブロードバンドの大本命と言える存在である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Long_Term_Evolution
また、もう一つの本命がWiMAX(ワイマックス、Worldwide Interoperability for Microwave Access)であり、日本ではKDDI陣営のUQコミュニケーションズが2月26日から東京23区・横浜・川崎パイロットサービスをスタートさせる。
http://www.uqwimax.jp/
WiMAXはその速度(下り最大40Mbps)もさることながら、かのPC業界の雄Intleが強力に推進している規格であり、将来的に全てのPCに標準搭載されるのではないかとも噂されている。
いずれにせよ、今年はWiMAXが、そして来年にはLTEが登場することで、日本の無線はブロードバンド化が一気に進むことになる。それはつまり、本当の意味での「ユビキタス社会」が到来することを意味する。勿論、首都圏から・・という図式は崩れないだろうが、2012年〜2015年の間には人口カバー率は90%を超えてくるだろうし、IMT(3G)からLTE(3.9G)への以降もかなり進んでいるであろう。
AR(Augmented Reality:拡張現実)やコンテキストアウェアネス(Context Awareness)もやっとこさまともなサービスを提供できる素地ができるというものである。
そんな通信速度必要ないよ!
という人も多いだろう。恐らくは多くの人にとって、それは過ぎたるものかもしれない。しかし、気がつけば大多数の人にとってアタリマエのものとして受け入れられる日は必ずくると確信している。
今、誰もがアタリマエに携帯電話で写真付きメールを送り、ムービーを動画サイトに投稿し、ゲームサイトで暇をつぶし、初めての場所でも携帯をNAVI代わりに使い、飲み会の会場を検索したりする。着うたもデコメもiコンシェルも、HSDPAとパケット定額があってこそのサービスだろう。
WiMAXもLTEもまずはPCの通信回線として発展するだろう。ただ、その通信速度は、PCでブラウジングをする以外にも多いに役に立つことになる。形態も電話である必要はなく、物理回線の制約は取り払われ、思いもつかないデバイスがネットワークに組み込まれるのではないかと思っている。
2000年代の携帯電話の進化が縦に伸びていくものであったとしたら、2010年の携帯電話の進化は横に広がるのではないかと思っている。もっと言えば、ネットワークの向こうにあるクラウドによって、デバイス間でサービスが移動したり、無意識にサービスが受けられるようになるのではないかとも思っている。家の外では携帯電話、家の中ではTVやPCにシームレスにサービスがつながれば、何だか面白いことが出来そうだ。
なんだか漠然としたことを書き連ねてきたが、LTEやWiMAXの登場と普及によって、これまでとはネットワークを用いたサービスの在り方が変わって行くであろうことが、ほんの少しでも伝われば良いなと思う。もちろん、そんなに簡単にいかないだろうし、全然2015年も今と変わらないサービスしか使われていないかも知れない。それでも、その可能性に思いを馳せたとき、えもいわれぬ高揚感に襲われる自分がいることも偽らざる事実である。
「WiMAX、LTE後の世界」が、今よりももっと面白く、もっと素敵で、もっと人々の生活を豊かにし、社会が大きく変化するモノであったなら良いなと思う。そして自分も、その中で何か一枚噛めれば素敵だなと常々思っている。