1回戦のチームを侮り、2回戦のチームとの対戦の事ばかりを考えていた。けが人が続出するなかで、チーム全体を見ることができなくなっていた。1回戦のチームを生徒達に侮らせたのは、俺の態度が原因だった。エースの不調を克服させれなかったのは俺の無能さ故だった。
1部に昇格した試合のイメージを引きずっていた。アレは、ベストコンディションだったというのに。それが今回も出るものだと、勘違いしていた。
勝負とは、いかなる状況、いかなる相手であっても全力をとすべし。
そんな最も大事なことを、忘れていた。
ここから先は臥薪嘗胆あるのみ。
バレーで失ったものはバレーでしか取り返せない。今俺にできることは、頭をひねり、あの子達のやる気を引き出し、効率的な練習を考え、2週間後に控える、準公式戦に最高の状態で臨むことだと思う。
試合後、自分のせいで負けたと責任を一身に背負っていたエース。自分がチームを試合に向けて束れねなかったと責任を感じていたキャプテン。自分のトスの調子が悪かったせいだと、表には出さず、呟くように悔しさを吐露したセッター。
誰も、他人のせいにはしていない。悔しさのあまり、何人かは涙した。そして、必ず次はと決意していた。残り僅かなクラブ生活を、彼女らなりに全力にやり遂げる為に、必要な敗北だったと思える日が来ると信じている。
今、俺に出来ること。それは、そんな彼女らの思いを形にする手助けをすること。何が何でも、次の試合は良い試合をして、笑って、泣いて、そして勝たせてやりたい。この負けを、この悔しさを、意味あるものにできないのなら、俺はホントにただの役立たずでしかないから。何が何でも、次こそは。
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