春高に向け、後はひたすら前進あるのみ。
2回戦であたる福島女子は例年ベスト16まで残る強豪校。ここに勝てるレベルまで持って行くことが当面の目標。というか、ここに安定して勝つチームになれば、多分大阪狙えるんやけど(笑)
課題はプレーヤー各々の反省にあったとおり、声とボールへの執着心。と、これだけ書くと結局根性論かよって話に読まれそうなので、捕捉すると・・
「流れを獲得し、維持し続ける」という課題を克服することが最大の目的であり、その為にはギリギリのラインでボールを上げ続け、自らを鼓舞し、相手を威圧することが肝要である。例えば、ナイスプレーはチームに活気を与え、粘り強さは相手にとって大いにプレッシャーとなる。
ということである。根性論は根性論かも知れない。メンタル面での弱さは確かなところだし、それを克服するというのは即ち、根性を付けることになるのだろうから。大切なのは、なんでもかんでも根性で片づけないことだと思う。
練習メニューに「ワンマン」というものがある。多くのバレー経験者は、この練習を聞けば吐き気を催すかもしれない。ただひたすら、振られ続けるボールを追いかける…そんな練習である。野球で言えば、千本ノックみたいなもんだと思って貰えばいい。
ワンマンとは、普通に練習をしている分にはなかなかなれない「限界状態」までプレイヤーを持って行くことが出来る。息があがり、体が重く、頭が真っ白になる状態でプレイを行う経験…それを積むことができるのが「ワンマン」である。
手っ取り早く言うとしんどいのだ。そこまで辛い思いをしてバレーをする理由がなければ、この練習に意味はない。つまり、「ボールがコートに落ちる辛さ」が「練習の辛さ」に勝るような意識レベルまで選手を持って行く必要があるのだ。
実際にチームの課題を克服するためには、このワンマンをどうしても取り入れたい。しかし、現状のワンマンには既に罰則的な「偏見」がついてしまっている。そこで、少し上で書いたような練習の意味を説明してから、3人1組で真ん中のプレイヤーにのみボールを振り、残りの2人がフォローをする「フォロー付きワンマン」を行うことにした。よくよく考えれば、ただのワンマンなのだが、生徒からは「しんどいけど、面白い練習」という声が聞かれた。
3人のうちサイド2人は声をだしてボールを呼び、それをセッターに運ぶだけなのだが、「限界状態に陥っている」プレイヤーはこのフォロープレイヤーの声だけが頼りなのである。視界が狭まり、ボールしか見えていない状態で味方につなげるために必要な物…それが味方の声なのである。
これは1つの方法であり、これだけでチームの課題を解決できるとは思っていない。しかし、この練習を拒絶することなく受け入れることができたこのチームは、間違いなく、課題解決の第一歩を踏み出したと言える。
夏に負ける悔しさを味わい、秋に勝つ喜びを知った。1月半後、一回りも二回りも大きく成長し、大阪の並み居る強豪チームを打ち破る彼女らの姿が目に浮かぶ。
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