JR福知山線の脱線事故の遺族が自ら命を絶った。
12年間一緒に暮らした男性を脱線事故で奪われた女性である。
JRは籍が入っていないことを理由に遺族として扱わなかったという。
別に社長が悪いという気はないが
「びっくりしていることは事実。私たちなりにはやってきたつもり・・・」
などというコメントを出せる時点でモラルを疑う。
この事件の責任の所在は明らかで、遺書の中で女性がJRを糾弾している。
あの脱線事故と、JR西のその後の対応が女性を傷つけ、生きる希望を失わせた。
これだけ明確な事実を突きつけられてなお、
私たちなりにはやってきた
などとは、正常な感覚の人間なら吐けるはずもない言葉だ。
確かに、信用回復の努力はしてきただろう。JR西が賠償責任などをそれなりに果たして
きたことだってわかっている。この事故で遺族のみならず、JR西で働く多くの方々も
ショックを受け、世間的につらい立場に立たされたことも良くわかる。
だからこそ、この事件を重く受け止めてほしかった。
努力が足りなかった。配慮が足りなかった。もう1人たりとも犠牲者を増やしたくない。
そういう言葉がほしかった。1年の反省の成果がそれかと思うと、なんだか悲しかった。
この事件はJR西日本による殺人事件である。
考えてほしい。最愛の人を奪われた上に、遺族として扱われなかった無念さを。
法的には遺族の定義に入らない・・・その理屈はわかる。
しかし、犠牲者とつながりのある人すべてが深い悲しみを負ったことはまぎれもない事実だ。
再度、JR西日本は犠牲者を取り巻くすべての人々への配慮をお願いしたい。
この事件が起こったのは15日早朝。
18日現在、この事件に関する記事はほとんど見かけなくなってしまった。
それが世間で、それがジャーナリズムなのかもしれないけど、なんだか悲しい。