前回の「
iPhone料金に関する考察」では月々の総支払額から他社との比較を行った。前回の記事中ではドコモとソフトバンク、イーモバイルだけを比較していたので、今回はauとウィルコムも比較に組み入れて、もう少し見やすい表にしてみたいと思う。
【比較表】 | 通信料 | 端末価格 | 月々支払 |
Softbank (iPhone) | 7,280円 (ホワイトプラン+パケットし放題) | 960円 (実質負担額) | 8,240円+通話料 |
Docomo (SH906i) | 7,350円 (プランSS+パケット定額フル) | 2,275円 (54,600円÷24) | 9,625円+通話料 (無料通話1000円付) |
au (W62T) | 2,345円〜7,275円 (シンプルSS+W定額) | 2192円 (52,600円÷24) | 4,537円〜9,172円 +通話料 (無料通話1000円付) |
EMOBILE (EMONSTER) | 4,980円 (新にねん) | 1,833円 (43980円÷24) | 6813円+通話料 |
WILCOM (WILCOM 03) | 3,880円 (つなぎ放題 7/11以降) | 980円 (実質負担額) | 4890円+通話料 |
※EMOBILEとWILCOMは同社内通話無料オプションを付けず。(+980円)
※全てパケット定額をMAX使い切っていると想定
※EMOBILEは割賦販売を行っていないので、24か月按分
※全て2年縛りの最大割引を適用
auのみがスライド式のパケット定額なのだが、フルブラウザを使うと、1ページあたり数百kbはざらなので、
1回ページを読み込むだけで100円単位でパケット料金がかかる。音楽を5曲もダウンロードすれば一発でスライドの上限に張り付いてしまう。
こう見てみると、
Wilcomの安さが際立っているのは7月11日より新つなぎ放題が音声通話に対応することが大きい。これまでであれば音声定額2980円+パケット定額3800円=6780円必要であった。今後はパケット定額3880円+音声定額980円=4860円が基準価格となる。wilcomユーザなんて周りにいないから、音声定額イラネーって人は3880円のみでよい。
できる限りスマートフォン同士の比較を行いたかったのだが、ドコモは一般向きにスマートフォンを出していない。そこで、
タッチパネルが使えるSH906iを引き合いにだした。auはどれがいいのかいまいちわからなかったので、
とりあえず価格がわかる最新機種を使用した。
突っ込まれる前に言っておけば、
「普通の携帯でフルブラウザーなんてつかわねーよ」だと思う。それはよくわかっている。でも、iPhoneはフルブラウザーしか搭載していないので、そこは大目に見てもらいたい。敢えて
「iモード使用時との比較がしたい」という人は、上記ドコモの金額から2000円をそっと引いてもらいたい。
【インターネット上での反応】色々な人の意見(参考記事を参照のこと)を見ていると、「高い」って意見が多いように思う。パケット定額不要や、スライド式定額がほしいという意見も多い。ただ、先にも書いたように、1ページ閲覧するのに平均して100円そこそこパケット料金が発生していることは念頭に置いた方がよいと思う。(auの場合:1パケット=0.2円、1Kb=8パケット、1Kb=1.6円)
もちろん、
ユーザの選択の幅を広げたり、全くインターネットを使わないユーザにも買ってもらえるように、パケット定額のオプション化、スライド式定額の導入は一つの普及のカギかもしれない。
ただ、インターネットに接続しないのであれば、iPod touchを購入する方がいいのではないかというのが個人的な感想だ。個人的には
iPhoneの最大の売りはsafaliやWebkitなどのすぐれたWebアプリケーションプラットフォームだと思っている。
ま、料金を高いと感じるかどうかは人それぞれだから、あれこれ言うのはよそう。私自身、高くはないけど安くもないと感じているのだから、できる限りニュートラルな立場をとりたい。
個人的には以下のblogに書かれている内容にとても共感を得た
iPhone 3Gの料金を考察する(前編)
http://iphonebibouroku.blog.shinobi.jp/Entry/20/iPhone 3Gの料金を考察する(後編)
http://iphonebibouroku.blog.shinobi.jp/Entry/21/
【通信業で働く一技術者の観点から見て】実際のところ、
Softbankがこんなに低価格のパケット定額に踏み切ったことに驚きを覚えている。iモードやezwebのように、すべてが自社網内で完結するサービスと、インターネットはコスト構造が全く違うからだ。
他業者のネットワークに接続する時点でGWと呼ばれる一つの出口(厳密にはロードバランスしたり、地域ごとにGWを用意したりする)にユーザのトラヒックが集中する。他業者につなぐ時点で
接続料が必要になるし、
GWの装置への投資もなかなか愉快な金額になってくる。
iPhoneが大ブレークして、100万ユーザが転送量が多いインターネット接続を始めたりすると、
自社網(特にコアNW)にも補強が必要になるし、何よりインターネット向きのGWに掛る負荷がこれまでの比ではなくなる。インターネットしかできないiPhoneユーザの増加に対応するには
普通の携帯ユーザの数倍分の設備投資が必要になる。100万のiPhoneユーザが増えるとなると軽く見積もっても、
"iPhoneの為だけに"十億円単位の投資は必要になるだろう。(キャリア向けのルータは一つ数千万)
ちなみに100万ユーザが7280円を支払うと単純計算72億8000万円だ。ただ、このうち1920円は端末料金の支払いに消える。(特別割引分)そうすると、だいたい
月53億円ぐらいの収益があるはずで、
年間で636億円。既存設備の維持や、通信回線使用料、人件費(ま、販管でざっくり2,30%ってとこか)などなどを差っぴいて、残った分で投資分を回収しなければいけない。そうすると
、結構この7280円というラインは現実的というか、カツカツなんじゃないかと思ってしまう。
もちろん、Softbankは
400万ユーザを抱えるYahoo!BBや、ソフトバンクテレコム(旧日本テレコム)という固定網インフラと、それを支える技術会社を多数抱えている。これらの固定網も勿論自社網なので、外向きのインターネットに接続するにはGWが必要になるのだが、もともと
「インターネット用のNW設備」なので、既にある程度の設備投資はできている。
ここにモバイル網をつなぎ込むのが一番コストパフォーマンスに優れている。通信業では昔から叫ばれてい
「モバイルと固定の融合」がどの程度できているか?というのが、今のSoftbankの課題だろう。(auも同じ課題を抱えているし、docomoに至っては固定網を持っていないから、このインターネット対応への設備投資額は絶望的な数値になる。iPhone出さなくてよかったんじゃないかな)
と、そろそろ話題がSoftbankの戦略についてに変わってきてしまったので、この件は別エントリーにしたいと思う。個人的にはiPhoneの先にフェムトセルやWLAN対応HGW、そしてYAHOO!BBの姿が見え隠れしていることが何より興味深い。
○参考記事
ソフトバンクのプレスリリース
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2008/20080623_02/index.html日経トレンディの記事
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080625/1015988/?P=1以下個人blogなど
http://iphonebibouroku.blog.shinobi.jp/Entry/21/http://www.milkstand.net/fsgarage/archives/001281.htmlhttp://blog.livedoor.jp/moon_tail/archives/55084884.htmlhttp://cross-breed.com/archives/200806251250.phphttp://homepage.mac.com/masa4s/iblog/cic/C564403512/E20080625230101/http://netafull.net/iphone/026351.htmlhttp://sureare.com/archives/200806/24_000894.htmlhttp://touchmeifyoucan.blog47.fc2.com/blog-entry-49.htmlhttp://abworks.blog83.fc2.com/blog-entry-374.htmlhttp://maidonikki.exblog.jp/8493566/
posted by beck at 02:52
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